日本語の勉強で中上級になってくると、どうしても避けて通れないのが漢字2字で作られた熟語「二字熟語」でしょう。特に経済、社会、政治問題などでは、よく出てきます。その中には意味が殆ど同じものもあって、どの様に使い分けたらいいのか、悩むこともあるはずです。
例えば、「状態」と「状況」。どちらも辞書を引くと condition, state など同じ様な英語が出てきます。こういう場合は、
まず一つひとつの漢字の意味を確認すること
その言葉が実際に使われている場合を知ること
目的語や、主語など、一緒に使われている言葉とセットで覚えること
などが、助けになると思います。
では、「状態」と「状況」の場合はどうでしょう。
「状態」という言葉を使う際の例としては、「この車の状態は、なかなか良いですね。」などの様に、今この瞬間の車の有り様、つまりタイヤがどれくらい減っているかとか、エンジンがきちんと動くかどうか、といったことを表しています。なので、この瞬間の車の写真を撮るような感覚です。
一方「状況」はどうでしょう。
それを理解するために「況」という字の、他の使われ方を見てみましょう。
「況」を使った言葉には他に「好況」「不況」「近況」「実況」などがありますが、「好況」などは、株が活発に売り買いされていたり、経済活動が活発に行われていたりする、(一瞬ではない)少し時間の経過の中での様子が表現されています。「近況」も今この瞬間ではなく、ここ何週間といった、時間の流れの中での出来事を報告する時に使われます。
「台風の状況はどうですか。」と聞かれた場合、「先ほどと比べて、ずいぶん風も強くなり、波も高くなってきました。雨は1時間に100ミリほど降っています。」などといった、時間の経過の中で、どのような動きがあったかという答えをするでしょう。
「状態」が一枚の写真の説明であるのに対して、「状況」はビデオなどの動画と言ってもいいかもしれません。
こんな風に、辞書だけで見るとあまり違いの分からない熟語は、個々の漢字の意味や、使われ方などを探してみると、違いが見えてくると思います。
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